広告宣伝費の決め方
ビジネスの成功において、認知度は極めて重要です。認知度がなければ、存在していないのと同じこと。認知度が高まればビジネスの成功可能性は上がりますが、過度に広告宣伝費をかけて資金繰りが悪化し、倒産するケースも少なくありません。ビジネス規模に応じた広告宣伝費の使い方を解説します。
大企業と中小企業では広告戦略が違う
まず覚えておいてほしいのは、中小企業が大企業の広告戦略を真似してはいけないということです。中小企業は顕在層・検討層にアプローチし、チラシやWeb広告など泥臭く広告活動をしていく必要があります。
逆に大企業も、中小企業のように顕在層や検討層だけにアプローチしていてはいけません。年間の広告予算を確保し、企業や商品の認知最大化を目指した広告戦略を行うべきです。中小企業ができない予算感で圧倒的な認知度を獲得、市場シェアを拡大、そういった戦略をとれるのがマーケットリーダーだからこそ出来ること。
一方、中小企業は、効率的に地域や特定の市場で一番を目指す戦略を取ります。そうしないとマーケットリーダーを真っ向から競合してしまい、価格競争に巻き込まれます。
大企業の広告宣伝費の決め方
大企業は売上高に対して粗利率や営業利益率を考慮し、広告宣伝費の割合を設定します。例えば、任天堂は売上高に対して5~6%を広告宣伝費に設定しています(詳しくは任天堂のIR資料を参照)。これは、売上高や原価、販管費が一定に保たれる企業ならではの方法です。
前述の通り大企業は、企業や商品の認知最大化を目指した広告戦略を行うべきです。中小企業では出来ない予算計画、企業の認知度をサービスの信頼度に変換することができるので、ある程度リアルタイムでの効果測定ができなくなってでも認知度を向上に特化した広告戦略をします。
選択肢はTVCM、交通広告、雑誌、ラジオ、新聞などマス媒体です。多額な年間予算は必要になりますが1リーチの単価は最安値ですので潜在層から大きく認知させられます。逆にWeb広告やプロモーションメディア(チラシ、DMなど)は少額の予算でスタートできてターゲティングしやすい一方、1リーチ単価は高めなので、認知度を最大化を目指すのにWEB広告とプロモーションメディアは戦略の中心になる広告ではありません。
中小企業の広告宣伝費の決め方
中小企業は投資効果を測定できる広告のみを行い、その効果を測りながら進める必要があります。決め方は前年度の売上高や今年度の売上高予測から決める方法とROI(投資収益率のこと。粗利÷投資額です)の目標から決めます。
例えば、化粧品通販事業を例にとります。ファンデーションAの売上高の想定が1億円で、原価率が50%であれば、粗利は5000万円です。営業利益は500万円とします。そうしたならば、使える広告費は営業利益を考慮して売上高の2%で200万円とも設定できるでしょう。
小規模ビジネスで、売上予測が立てられない場合はROIから考えます。販管費などを考慮して設定する必要はありますが、ROIを200%目標にしてみましょう。商品価格1000円、粗利は500円。10,000円の広告予算を使うなら、15,000円の粗利、30,000円の売上が必要になります。10,000円の予算で出来る広告はWeb広告に限られるので、10,000円の予算を週単位で掲載してみる。そして目標のROI通りに運用できるか何回もテストをします。
年間予算200万円、もしくは10,000円予算でテストマーケティングをしていく広告戦略を立てると、選択肢は絞られてきます。例えば、検索エンジン広告、バナー広告(CPM出稿)で継続的に広告を行うのが有力な選択肢となります。
認知度を拡大しやすいTVCMや交通広告は効果測定が難しいため、中小企業には向きません。まずはチラシやDM、Web広告で効果を測りながら進めましょう。
中小企業は潜在層ではなく顕在層をターゲットにし、確実にROIの目標を上回るような広告戦略を組み立てることが重要です。地道に分析を重ね、効果的な広告戦略を構築していきましょう。